八発白中

技術ブログ、改め雑記

Design is different from Decoration

最近、Webアプリケーションを全面的に"デザイン"する機会があったので、"デザイン"ってなんだろうと思っていろいろ調べています。

日本で「デザイン」とか「デザイナ」という言葉を使うと絵を描いたり建物を設計したりとかいう人を思い浮かべがちだけど、海外では形作るものを総合して"デザイン"と言います。たぶんこの辺りはSteve Jobsの影響もあって日本でも認識され始めてると思います。

ただ、それでも"デザイン"って何?と聞かれて答えられない。"デザイン"ってなんだろう。

そう思っていろんなデザインの本を読み始め、ようやく合点のいく説明をしてくれる本を見つけました。

Paul Rand: Conversations with Students

Paul Rand: Conversations with Students

小冊子くらいの薄い本で、Paul Randの授業での言葉が生徒との対話形式で書かれている。

Design is relationships. Design is a relationship between form and content.

デザインとは関係である。形と中身の"関係"だ。

これがPaul Randが語るデザインの本質のようで、対話の中で繰り返し出てきます。デザインとは関係性の表現。

Everybody has different ideas about what design is. One person thinks of his father's tie. One person thinks of his mother's nightgown. Another person thinks of the carpet in the living room. Another person is thinking of his wallpaper in his bathroom.

You know? That is not design. That is decorating.

(美術学校では) 皆デザインについて各々の考えを持っている。ある生徒は父親のネクタイを考える。ある生徒は母親のガウン。またある生徒は居間の絨毯。またある生徒はトイレの壁紙を考えている。

気づいたか? それはデザインじゃない。装飾だ。

装飾とデザインがどう異なるか。そもそも装飾はデザインの一つの過程でしかないはずです。それが目立つのは、ただ最後に目につく部分だからでしょうか。はてブのdesignタグを見ていてもほとんどは装飾のテクニックが多いですね。

さらに、この「装飾とデザインの違い」っていうのは、僕にはもっと示唆に富んだ言葉に見えます。「装飾すること」だけでなく「装飾をなくすこと」もデザインの本質ではないのでは。

エンジニアの中には少なからずシンプリシティこそが善と信じて止まない人もいて、少なければ少ないほどよいという価値観を持っている人もいますが、必ずしもそうとは言えないんじゃないか。デザインは物の多さとか少なさ配置とかに依存しない概念のはずです。本当に重要なのは、「複雑さを減らすこと」。

複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦

複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦

たとえばスイッチが100個あるラジカセは何がなんだかわからなけれど、スイッチがたった1個のラジカセもシンプルとは言えない。その1個のスイッチを1回押したら再生で、2回押したら停止で、1秒間隔で3回押したら早送りとか言われても使いこなせる気がしない。笑えるけど、たぶんシンプルさに酔ってる人はやりがちなことだと思う。重要なのは、「複雑さを減らすこと」。

最初はノンデザイナーズ・デザインブックとか読んで、最低限のことを理論的にデザインを学ぼうと思ってたけど、時を越えて良いデザインをしようと思ったらどうしてもデザインの本質を知らないといけないと考えなおしていろいろ学んでいる途上です。

なかなか道のりは遠いな、と思ったところで、普段デザイナさんたちが作るものがいかに試行錯誤の上に成り立っていて道なき道を行く人々なのかに気づいて、ただただ敬服するばかりでした。