八発白中

技術ブログ、改め雑記

ILC2012 @ Kyotoに参加して発表しました

10月21〜24日の4日間、International Lisp Conference (国際Lisp会議) 2012 @ 京都に参加してきました。4日目にはClackについて発表してきました。

せっかくなのでレポートがてら、ILCについて少し書いておこうと思います。

ILC2010 @ Reno/Sparks

ILCの参加は前回のILC2010 @ Renoが最初でした。

そのときはClojureでAppEngineを使ってWebアプリケーションを作ろうとしたり、プレゼンツールを作っていました。Schemeは少し書けたものの、Common Lispはまだ複雑に思えてほとんど書いたこともありませんでした。

英語も話せず、お金もなかったにも関わらず、行ったこともないアメリカに単身で行くのは今思い返すとかなり無謀ではありました。

なぜ参加しようと思ったかというと、CLtL3 *1 について調べていたときに以下のページを見たからです。

僕はLispの未来について興味がありました。ただ、日本でLispを書き、仕事でJavaJavaScriptを書いていて、この生活の延長上にLisperとしての自分が描けなかった。近々国際的なカンファレンスがあるなら行ってみたいと思ったのです。

向こうに行きさえすればなんとかなると思ったのですが、英語力はどうにもならず、発表もほとんど何を話しているのかわからないのでスライドを見てなんとか判断するしかないという有様でした。

英語の会話もひどいものでした。

相手「What do you do at work? (仕事では何をしているの?)」
僕「Well…I like Lisp, but… I'm writing Java at work…so,..yes. (ええと…Lispが好きなんだけど…仕事ではJavaを書いています。で…はい。)」

そのためカンファレンス中はずっと佐野さんについてまわっていました。佐野さんには非常にお世話になりました。

にしても、僕にとって刺激的な体験だったのには変わりなくその後の僕のモチベーションになったのは間違いなさそうです。

ILC2012 @ Kyoto

今回は日本の京都であるということもあって、当然ながら参加。

参加メンバーとか

ASDFのメンテナでITA所属 (今はGoogleに買収) のfareや、IOLibの作者であるStelianにも会えました。技術的な会話ができるほど英語はできませんが、2人とも僕をGitHubで知っていたのがうれしかったです。

4日間はほとんど毎日飲みに行っていました。

日本人と外国人で店に入ると、自然と日本人がまとまってしまうのですが、日本人Lisperとは話す機会はいくらでもあると思って自分は外国人と積極的に話すようにしました。とても楽しかったです。特にRobertは僕の英語に耐えてよく話し相手をしてくれました。

発表するのは大変だった

本当は参加するだけにしようと思っていたのですが、黒田さんに「Paper出してくださいね (=発表してくださいね)」と言われてしまったので発表することになりました。特に僕のClackはアカデミックな内容でもなく躊躇したのですが、「作ったものについての発表でも良い」という話を聞いたのでじゃあ考えてみますとその場では軽くOKしました。けれど、発表するのは本当に大変でした。

まずは3ヶ月前までにAbstractを提出し、1ヶ月前までにFull Paper *2、そして当日までにスライドを用意しなければいけません。

僕は大学も中退しているくらいなので、論文なんて一度も書いたことがなく、公式な英語文書も書いたことがありません。Paper、スライドは全部同僚のid:aaronさんに見てもらい、間違った文法や不自然な表現を修正していただきました。ありがとうございました。

当日はKeynoteのSpeaker Noteに全部原稿を入力し、ほとんどそれを読み上げるように発表しました。

25分枠に対して12分で終わるという超短いプレゼンでしたが、終わったあとに「日本人はプレゼンが下手だけど、君のプレゼンはわかりやすくて素晴らしかった」と言ってもらえて報われました。


発表すると外国人と話すネタになったり、自分のプロダクトを広く知ってもらえるきっかけになります。参加して話を聞くだけとはまた違った刺激が得られます。

結局


2年前のILCと比べると英語が少し喋れるようになり、自分のプロダクトもあって、Kyoto.lispも開催していて、発表もしたわけだし、振り返ってみると自分も少し進歩してきたのだなぁと感じました。

僕は大学1年18歳のときにようやくプログラミングを始めたし、僕よりプログラムが書ける人もいくらでもいます。Common Lispを始めたのはほんの2年前だし、英語も僕よりできる人ばかりです。そんな中僕が発表できたんだから、もっとみんな積極的になっても良いと思いました。fareもそう言ってた。


ILCに参加した唯一の弊害は、ILCが楽しすぎて人生がつまらなくなったくらいでしょうか。

次のILCは2年後か3年後、たぶん日本でなく米国かカナダか、ひょっとするとEUのどこかになるかもしれませんが、次もきっと参加します。それを生きがいにしてLisp力と英語力を高めておこうと思います。

*1:次のCommon Lisp仕様

*2:15ページなんだけど僕は勘違いして2ページしか出さなかった。でも大変だった。